築地と豊洲の間から

東京湾沿いから、思ったことを書いてみます。

サカナとヤクザ

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世間を揺るがす事件というのは、案外身近に起こっている。

それを感じたのは高校2年の冬のときだった。
野球部に所属していた自分は、冬休みもほぼ休みなく毎日練習だった。
特に冬は実践練習というより基礎練習がメインで、筋トレとかランニングなど体をいじめ抜くような練習ばっかだった。
あまりにも足を鍛えるので一冬を超えるとお尻がパンパンに張る。その姿に同級生から「プリケツ」と呼ばれることもあった。というより今も呼ばれている。

練習場所は立川のはずれにある玉川上水駅から徒歩10分くらいにところにあった。
中野新橋付近に住んでいたので、丸の内線に乗り新宿駅で降り、西武新宿駅まで歩いてから乗り換えなしで玉川上水まで通っていた。
冬は7時には練習がはじまる。5時半の始発に乗らないと1時間以上かかる玉川上水まで間に合わない。寒いし体力きついとかなりしんどい時期だった。
地元には一人野球部の同級生がいた。待ち合わせはしないが、お互い始発に乗らないと間に合わないため最寄駅から一緒にいくことがほとんどだった。
冬の5時半はまだ暗い。新宿では早朝出勤と朝帰りが入り混じる、混沌とした時間帯でもある。1人だと嫌だなと思う気持ちが強かっただけに同級生の存在は有り難かった。

 

その日も、丸の内線からアーケードを通り、信号で止まる。JRの高架下を通り、西武新宿駅に着くがその道路脇の道が本当に暗くて気味が悪かった。人影はないが、ゴミが散乱している。カラスがたくさん群がっている。

「こうゆうところで事件って起こるんだろうね」

「死体でもあったりして…」

ふざけて会話しながら、電車に乗りグランドに向かった。

 

翌日、衝撃を受ける事件を知ることになった。私たちがふざけて怖いといった脇道で、バラバラになった死体が見つかったと報道が流れた。この事件は当時、大々的にニュース番組で取り上げられた。バラバラに解体した死体が各地で見つかったことに加えて、犯人が被害者の結婚相手ということも事件の謎をさらに深めてたようだった。

もし仮に、そこの道を通っていたなら、自分たちが発見したのでは…と思うとぞっとする思いだった。翌日から同級生とは待ち合わせをして確実に一緒に行くことにした。

 

 

水産業界も、自分たちの身近なところで事件が起こっているのだろうか。

もうなくなってしまったが築地市場は取り締まりが厳しくなり数年前から暴力団はいない、もしいたとしたらその会社は取引ができなくなると言われていた。その言葉を聞いていたから、怖い人がいてもただ威勢が良い人なんだろうなと思っていた。

この本は、実際に取材を重ねて今の水産業界が抱える闇の部分を描いている。生々しい現地とのやりとりは同じ業界にいる者として、見えない事象に対する恐怖を改めて思い知らされた。