築地と豊洲の間から

東京湾沿いから、思ったことを書いてみます。

死ぬこと以外かすり傷

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体力には自信があったがこの人には負けたと思った人がいた、会社の先輩Tである。

その人はプロレスのタッグマッチのように交代制で仕事しているのではないかと思えるほど1人なのが不思議なほど無尽蔵に働いていた。

見た目はいかつい感じはしないが胸筋がやたら発達しており、かつて鍛えていた形跡が垣間見られ、黒縁のメガネのその奥にはアウトレイジに出演できるようなするどい眼光を持っていた。

 

朝から大声をあげて仕事をして、昼はコッペパンしか食べない。

その後夕方までさらにシャウトしながら仕事をする。特に脅威的だったのが夜11時以降のテンションだった。今ほど労働時間の制約がなかった当時、11時を超えることがたびたびで私とその先輩だけになることが多かった。

そうなると決まって歌い始める。よくXJAPANを歌っており、隣でライブをやりながら仕事する存在に恐怖を感じていたのを思い出す。ちなみに仕事の業績はものすごい勢いで伸ばしていた。

 

5年ほど仕事をしたがその先輩が突然に大学院に通い始めた。

変わらず夜遅くまで働いて、いったいどこにその業務をこなせる体力があるのか、もはや2人ではなく3人くらい代役がいるとしか思えなかった。プロレスでもルール違反である。

 

2年後、大学院を無事に卒業した先輩は、勢い有り余り会社も卒業してしまった。

ついにその無尽蔵な体力の秘密はわからなかった、きっとマラソンが得意な人だったのかもしれない。自分にとっての七不思議のひとつに強制終了をかけた。

 

しかし、今この本を読んでわかったことがある。きっとその先輩は、死ぬほど仕事が好きだったんだと思う。昼もコッペパンだけで過ごせてしまうほどのめりこんでいたのだ。圧倒的な勢いに振り飛ばされて精神的にだめになった人も結構いた、それは先輩の持つ熱量に火傷をした印なのかもしれない。

 

高温の熱量を持つ人間はそれほどいるものではない、著者も尋常じゃない熱量を持っているから著名人に近づける。平温な人は熱さに憧れるが、近づくには自分も高温な熱量を持つしか方法はない。