築地と豊洲の間から

東京湾沿いから、思ったことを書いてみます。

男は顔が名刺

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人が持つ性格を、雰囲気とか顔で判断することが多い。

 

特に仕事に関わる人たちは自分の独断と偏見で「あ、この人こんな性格かな」とか「ここまでだったら怒らなそう」とか決めつける。ほとんど20歳以上離れた年上の人たちだから、こんな若僧に勝手に性格を決めつけられてると知られたらきっと呆れる。

 

こんなことを思うようになったのが、8年くらいに会ったとFというおじさんが発端だった。

大学3年で就活をしていた私はどうしても総合商社に入りたいがために、様々な社会人とアポをとり話を聞きに行った。大学のOBや、そのOBから紹介してくれた現役社員など様々な人たちと会って話をさせてもらった。今となっては何を聞いたのかも覚えていないが、みなさん大人の余裕がある、雰囲気のある人たちだった。

そんな中、とあるきっかけで知り合ったのがFだった。50歳くらいだろうか、名刺をもらったが自分の名前しか書いていなかった。会社の肩書きなどいらぬということなのか。とても斬新だ。ただ顔には胡散臭株式会社と書いてるくらい怪しいオーラを出していた。声が甲高いのも怪しい。その人はとある政治家と精通しているようで、いわばスネ夫みたいなポジションの人のようだった。

「君、どこの会社に入りたいの?」

「Mという会社に興味がありまして…」

「そうなんだ、そこの会社の人事部の部長が、僕の知り合いの知り合いのなんだ。なんとかしてあげるよ」

ちょっと遠くない?そんな力あるのこの人。と思いながら、当時は藁にもすがる思いの学生の私は、もしかしたら強力なコネになるのではと淡い期待をしていた。

Fは私をさまざまな場所に連れ出した。会社経営者の集まり、貴婦人が集まりそうなお茶会、大学の講演会…これは意味があるのか?という人たちにも挨拶をするように言われてその通りにしていた。

貴婦人の集まりに呼ばれた段階で、「このおっさん、何考えてるんだ?」と疑い始めたが、Mの人事部長の知り合いの知り合いに会ってる時にその胡散臭さは確実なものとなった。

「あの、この学生にMの人事部長を紹介してくれないか?」

「F、きみはまだそんなことをしているのか。君もいい歳なんだから、ちゃんと職に着かなきゃダメだよ」

え、このおっさん無職だったの?だから名刺に会社なかったの?

「こういった紹介業も仕事の一環なんだよ、頼むよ。」

「悪いけど、そういったことはできないよ。君、この人に何言われたか知らないけど、実力で頑張りな」

状況を飲み込むまでに時間かかったが、そのFは就活生に行きたい企業の人を紹介して紹介料をとるような商売をしていたおっさんだった。まんまと騙されるところだったようだった。

帰り道、駅のトイレの鏡にうつるFの顔は変わらずの胡散臭さが漂っていた。そして、突如としてその場でカツラをとってポジションを直していた時の衝撃はなかなか忘れられなかった。

 

しょうもない体験から、顔とか雰囲気で人を判断することになった。ただ、それはあながち間違っていなかったのかもしれない。

人は顔で判断されるもの、いつも怒ってるような人には本当は性格がいいのかもしれないが近づきにくくなる。

 

自分の顔はどうなのか、改めて鏡を見て見る。

うーん、胡散臭い。